税理士 本橋裕央のブログ

本橋会計事務所 税理士 本橋裕央が、税金に関する情報などを書いています。

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贈与税率の改正

先日、相続税率の改正についての記事を掲載しましたが、相続税率と同時に贈与税の税率も改正されています。因みに、相続税法は一税法二税目といって、相続税法一つで相続税と贈与税の二つの税目がカバーされています。

さて、どのように贈与税率が変わったかというと・・・
まず、贈与を受ける人の年齢と誰から贈与を受けたかによって、税率が2つに分かれる様になりました。具体的には、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合とそれ以外に分かれます。

★贈与税の速算表(平成27年1/1以後の贈与)
①20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
【 基礎控除額110万円の控除後の金額 】   【 税率 】  【 控除額 】
200万円以下                     10%      ―
200万円超400万円以下               15%     10万円
400万円超600万円以下               20%     30万円  
600万円超1,000万円以下              30%     90万円
1,000万円超1,500万円以下            40%     190万円
1,500万円超3,000万円以下            45%     265万円
3,000万円超4,500万円以下            50%      415万円
4,500万円超                      55%     640万円

②①以外の場合
【 基礎控除額110万円の控除後の金額 】   【 税率 】  【 控除額 】
200万円以下                    10%      ―
200万円超300万円以下              15%     10万円
300万円超400万円以下              20%     25万円  
400万円超600万円以下              30%     65万円
600万円超1,000万円以下             40%     125万円
1,000万円超1,500万円以下            45%     175万円
1,500万円超3,000万円以下            50%     250万円
3,000万円超                     55%     400万円

(参考)
昨年までの贈与税率(2014年2月のブログ)

例えば今年平成27年に、35歳の長男が実父から現金500万円の贈与を受けたとすると、①の速算表にあてはめ、(500万円-110万円)×15%-10万円=485,000円の贈与税を長男が納付することになります。

贈与者が変わって、もし、この長男が自分の妻のお父さん(義父)から現金500万円の贈与を受けたとすると、②の速算表で計算することになり、(500万円-110万円)×20%-25万円=530,000円の贈与税が課されます(昨年までの贈与税と同額)。

昨年までに比べ、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受ける場合については減税傾向、それ以外の場合は1,000万円を超える贈与から、増税傾向となります。

また、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」も新しくなりましたので、機会を改めてお知らせ致します。

年末調整

12月に入り、企業の経理担当者や会計事務所は、年末調整業務で忙しくなりつつあるのではないでしょうか。サラリーマンにとって、確定申告は縁遠いかもしれませんが、年末調整なら何となく関わっていると思います。

そもそも年末調整というのは、どういった手続で、何故行うのでしょうか?
年末近くになると、経理担当者から、右上にマル(扶)とか、マル(保・配特)とか書かれた用紙が配られ、その用紙に生命保険会社から自宅にハガキで郵送されて来た生命保険料控除証明書を添付し、経理部へ持って行くというイメージだと思います。

年末調整は、サラリーマンの1年間の所得税の精算です。サラリーマンは、毎月のお給料から、所得税が天引き(源泉徴収)されています。この毎月天引きされた所得税額の合計と、1年間のお給料を改めて集計し、正しく計算した所得税額との差額を調整する手続きです。そして、多く徴収されて(払って)いる様なら、還付され、少なく徴収されている様なら追加で徴収されることになります。

差額が生じる理由は人それぞれですが、まず、毎月天引きされる所得税は、源泉徴収税額表により決められています。源泉徴収税額表は、毎月の給与額と扶養している家族の人数が1年間変動しないものとして作られているので、年の中途で給与額が変動したり、家族が増えたり減ったりすると、天引きされた所得税額と正しく計算した1年分の所得税額との間に差額が生じてきます。

また、年末調整では、下記の様な各種控除が受けられるので、これらの控除を受けることにより差額が生じてきます。

〈 各種控除 〉
配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除・寡夫控除・勤労学生控除・基礎控除・配偶者特別控除・生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・住宅借入金等特別控除(控除を受けようとする最初の年分については、確定申告が必要です。)

この様に、各種控除を受けると、毎月給与から天引きされていた所得税が過大となり、年末の給与に加算されて戻ってくることになります。
経理部に必要書類を提出することで、これらの集計・控除の事務手続きをやってくれるので、自分がどのような控除を受けられるのか認識し、しっかり控除を受けた方が良いと思います。

税理士の数

2015年の9月からブログを再開しましたが、ふと開業当初に書いていたブログはどういうものだったか読み返してみました。私は2008年~2011年くらいまで、日野の税理士ブログを、ほぼ毎日の様に書いていました。文章自体は短いですが、我ながらよく続いたと思います。

その過去のブログに税理士の数についての記事がありました。税理士になると、各協会から業界紙が送られてきます。
内容的には
・東京税理士会から「東京税理士界」・・・実務の研究や研修等について
・日本税理士連合会から「税理士界」・・・税理士の活動等について
・東京税政連から「東京税政連」・・・税理士会の政治活動等について
・日本税政連から「日本税政連」・・・税理士会の政治活動等について
といった感じです。

この東京税理士界に、毎月、全国の税理士登録者数というのが掲載されます。2009年当時の税理士の数と2015年の現在では、どのように変わっているでしょうか?
少子高齢化やリーマンショックなどの景気悪化で、税理士として独立開業する人は、減った様に思われますが・・・

東京の税理士登録者数 2009/6/15 日野の税理士ブログより
2009年1月:19847人 (うち開業税理士:16382人)
2009年2月:19832人 (   〃   :16344人)
2009年3月:19873人 (   〃   :16330人)
2009年4月:19865人 (   〃   :16283人)
2009年5月:19867人 (   〃   :16264人)

今年の後半の東京の税理士登録者数を集計してみました。
2015年6月:21734人 (うち開業税理士:16057人)
2015年7月:21747人 (   〃   :16053人)
2015年8月:21862人 (   〃   :16121人)
2015年9月:21862人 (   〃   :16087人)
2015年10月:21877人 (   〃   :16066人)

やはり・・・
税理士の登録者数は約2000人増えていますが、開業税理士数は約300人減っています。これは、税理士にはなったけれども、会計事務所内や事業会社内で税理士業務を行い、独立開業をしないことを表していると思います。
少子高齢化で人口が減り、税理士の顧問先となる中小企業自体も減少、新たに法人を立ち上げて経営者になろうとする若者も減り、同じ様に若い税理士も開業のリスクを避けるといった傾向にあるのではないでしょうか。

税理士となって自分の事務所を開業して、会計事務所の経営者になると、勤務税理士と違い、お客様である経営者と同じ目線に立って物事を見ることができ、より的確なサービスを提供できる税理士になれると思うのですが。

税理士試験

早いもので、今月もあと3日となりました。来週からもう12月です。税理士事務所は、これから春に向けての間、繁忙期となります。年末調整、法定調書合計表の作成、給与支払報告書の提出、固定資産税(償却資産税)の申告、確定申告と、通常業務の他にプラスアルファの業務が出てきます。

繁忙期に向けて、12月は税理士試験の受験生にとって、大切な日があります。8月に受けた税理士試験の合格発表の日です。夏の暑い中に受けた試験の結果が、4ヶ月後の12月に発表されるとは、長い採点期間だと思います。自分が受験生であった頃は、良くても悪くても早く結果が知りたかったものです。

税理士資格を試験で取得するには、5つの科目に合格する必要があります。会計科目の①簿記論②財務諸表論が必修科目で、税法科目の③法人税法と所得税法が選択必修、他相続税法、消費税法又は酒税法、固定資産税、住民税又は事業税、国税徴収法からの選択となります。

なかなかそんな強者は居ませんが5科目同時に受けても良いですし、毎年1科目ずつ受験していっても大丈夫です。そして、5科目取りきると税理士資格有資格者となります。合格発表は、毎年郵送で知らされるので、発表の日は郵便屋さんが大変待ち遠しかったです。

1部科目合格者は、郵送でしか合否が解らないのですが、5科目すべて取りきった方は、官報に受験番号と名前が掲載されます。なので、5科目の合格を官報合格とか官報に載った、などと言ったりします。

私が受験生のころは、7月の末~8月の第1週くらいの3日間に試験が行われ、東京では、早稲田大学か立教大学の冷房の無い教室で、汗だくになって問題を解いた記憶があります。数年前からは、流石に冷房も入る様になりましたが、今年は受験日が遅く、お盆明けの8月18日、19日、20日でした。

税理士試験まで、猛ダッシュで勉強して、試験後に夏を満喫、お盆休みでノンビリするというのが例年のペースだと思いますが、今年はペースを乱された受験生が多々いらっしゃる様です。1年かけて予定を組んで勉強して来たのですから安易に変えられるとペース配分や夏の予定が狂ってしまいますね。

さて、そんな平成27年度税理士試験の合格発表は、12月18日(金)です。受験生本人は勿論、周りで応援してくれたご家族、同僚、友人、講師の皆さんにとっても大切な日です。人事を尽くして天命を待つ。良い知らせを運んでくれる郵便屋さんやインターネット上に公開される官報を心穏やかに待ちましょう。良い結果を得て、良い年となります様に。

ふるさと納税

ふるさと納税に関するご質問を頂くことが、たまにあります。「税」なので、税理士が計算するのかというとそうでは、ありません。「納税」という言葉がついていますが、実際は寄附です。官庁の管轄も国税庁ではなく、総務省となります。
ただし、税がまったく無関係かというとそうではなく、「自治体に寄附をすると、所得税や住民税の控除が受けられますよ。」という制度になっています。

おおまかに言うと、2,000円を超える寄附をした場合、その寄附金額を基準として、一定額を所得税と住民税から控除する制度です。寄附する方の所得額や家族構成等によって、控除額が変わってきますので、総務省のふるさと納税のホームページで試算をすると早いと思います。

手続きの流れとしては、寄附(ふるさと納税)をして、寄附をした自治体から受領書をもらい、その受領書を添付して、原則、確定申告を行う必要があります。そうすると、ふるさと納税をした年度の所得税から控除が受けられ、市区町村が翌年度において、控除を適用した住民税を計算して納付書を送ってきてくれます。
税理士に確定申告を依頼する場合には、このふるさと納税の受領書をお渡し下さい。

寄附をしてるのに、確定申告をしなければならず手続きが面倒と思われた方の為に、ふるさと納税ワンストップ特例制度というものがあります。
どのようなものかと言うと、今年の4月1日以降に行う寄附について、寄附先の自治体に対し、「ワンストップ特例申請書」を提出します。そうすると、確定申告ナシで、市区町村が翌年度において、控除を適用した住民税を計算してきてくれます。ふるさと納税ワンストップ特例制度の場合、所得税の控除は行われず、その分も含めて翌年度の住民税から控除がされます。

その他、確定申告ナシで控除を受ける事ができるワンストップ特例制度で注意する点としては、寄附先の自治体が5団体以内であること、寄附する方は、もともと確定申告が不要な給与所得者等であることが挙げられます。
5団体を超えて寄附をした方や、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告を行う方が、ふるさと納税の控除を受ける場合には、確定申告が必要になってきます。

ふるさと納税の楽しみ方の一つとして、自治体からのお礼があると思います。宮城県では、牛タンや大吟醸などが貰え、福島県の喜多方市では、ラーメンなどその土地の特産品を頂けます。地域の為にもなり、自分も控除を受けられ、お礼まで頂けます。

確定申告の必要がないサラリーマンが、楽しみながらお礼の品を選びつつ、どれくらいの控除が受けられるかを試算をして、ふるさと納税ワンストップ特例制度を受けて寄附をするというのが、有意義かもしれません。